マホイップのホント 感想
脚本:赤尾でこ
絵コンテ:尼野浩正
演出:ウヱノ史博
作画監督:篠原隆
ポケモンの進化を一番活かせた回
ポケモンには進化があり、どのポケモンに進化するか、どんな進化をするのか、あえて進化しないなど色んなエピソードがある。
今回はマードックとマホイップの進化のエピソード、またそれによって変わった人間関係の描き方が良かったという話をしようと思う。
コットンキャンディをプレゼント
今回の話の発端はぐるみんが動画にコットンキャンディを使いたいから中の人であるドットがリコ達にお使いを頼んだ。
配信者ぐるみんファンであるリコはこの飛びつきっぷり
ぐるみん+コットンキャンディ=可愛いが脳内で出来上がってテンションが上がっている
ぐるみんオタクなリコは普段と違ったテンションを見せてくれるからなんか可愛く感じるな~
マードックとミッチェルの再会
いざコットンキャンディの売っている店に行くとマードックの知り合いであるミッチェルと出会った。
だが仲は良好ではないようでミッチェルはマードック達にはコットンキャンディを売らないという。
いつもは優しいマードックも辛辣な態度を取っているのがかなり珍しい。
マードックただでさえ強面なんだからにこにこしろい。
2人の仲を見てマホイップはすごく悲しそうな表情。
マホイップかわええ~~~……………
2人の過去
2人が仲違いした理由はまだマードックがライジングボルテッカーズに入る前の話から始まる。
マードックとミッチェルは2人で洋菓子店を経営していて、マホイップはまだ進化していないマホミルの状態で2人にお手伝いをしていた。
2人の得意なケーキは違う
2人のケーキの売れ行きは絶好調だが、作るケーキは抹茶とイチゴ味(?)と得意分野は違う様子
マホイップはクリーム部分で2人の手伝いをしている様子。
ポケモンが人間の生活の一部になってるのが個人的な好きポイント
2人はバチバチとやり合っているが仲は良く、友人というよりはライバルという仲だった。
そんなある日マホミルがマホイップに進化する。
ここから事件は始まった。
マホイップには色んな味が存在する
そもそもマホイップには上記の画像の通り様々な味に進化する。
今回進化したマホイップはどう見てもミッチェルと合う抹茶味ではなくマードックと合ういちご味の姿になった。
これが影響してマホイップのケーキは爆売れ。
逆にミッチェルのケーキは相対的に評価が下がり売れ残るようになった。
マホミルがマホイップに進化したことによってライバルだった2人に差ができてしまったのが今回の話の重要なポイントだ。
ポケモンの進化に2人の関係性に変化が出た
マホミルは2人の得意メニューを手助け出来るが、マホイップに進化してマードックの手助けしか出来なくなった。
それによりミッチェルはマードックに劣等感を抱くようになる。
マードックが作ったクリームが乗ったクッキーをプレゼントするマホイップだったが、マードックに対して劣等感を抱いていることもあり受け取るどころか手を払いクッキーを地面に叩きつけてしまった。
「スイーツを傷つける奴にスイーツを愛する資格はない」とマードックはミッチェルを一喝し2人は別々の道を歩むことになる。
一度進化したポケモンは進化前には戻せない
この話の一番重要な部分は「ポケモンの進化」にあるが、そこから更に重要な部分を抽出するとポケモンは進化すると進化前には戻れないところにもあると思う。
画像は新無印98話「ポケモンサーカス!ブースターとサンダース!!」だが、ほのおタイプが大好きなホノカとでんきタイプを愛するビリーがイーブイを進化させる際に誤ってかみなりのいしとほのおのいしを落とし、別々の姿に進化させてしまう。
ホノカのイーブイはサンダースに、ビリーのイーブイはブースターに進化。
もちろん進化前に戻すことは出来ない。
2人はサーカス団なので一旦パートナーを交換してそれぞれ得意な分野でパフォーマンスをしていたが、ポケモンが窮屈な思いをしている&ポケモン達も変わろうとしている姿に胸を打たれて自分たちが変わることでパフォーマンスを成功させた。
カスミもニョロボンに憧れていた時期があり、自分のニョロゾもニョロボンに進化して欲しいと思っていた。
しかし結果はニョロトノに進化。みずタイプ好きなカスミはニョロトノになっても喜んでいたが、もしそうじゃなかった可能性も考えると怖い。
別のパターンでいうとゴウのメッソンはインテレオンに憧れていた。
しかしいざ進化してみるとジメレオンに進化をしてショックを受けるどころかゴウの元から離れて引きこもってしまうぐらいだ。
最終的にインテレオンが進化できたからでいいが、もしこれがあのイーブイ達やニョロゾ達のケースにあったと思うと悲しい話になってしまう。
まだ進化先が残っててよかったねインテレオンくん………
このように過去にもトレーナー、ポケモンが想定していなかった進化はいくらでもあり、今回のケースは進化によって2人の間に深い溝が出来てしまった。
マードックとミッチェルの仲直り
最終的には自分の抹茶ケーキにマホイップのクリームを足して合作にすることで仲直りを果たす。
ポケモンの進化というテーマを用いて人間の感情を動かしてストーリーを作るというのはかなりすごいと思っていて、特にすごいのはマホイップという個体を活かしながら人間ドラマを作るという点だと感じた。
こういう話は中々作れるものじゃない。
人間ドラマは悪いことではない
リコロイの批判によく人間ドラマだという謳い文句があるが、人間ドラマは決して悪いことではない。
恐らくはポケモンが主役していないなどそういう意味で用いているのだろうが、過去にもそのような話で高評価なストーリーはいくらでもある。
ダイヤモンド・パールシリーズのサトシとシンジのストーリーなんてサトシとシンジと価値観の違いと互いに互いのことを理解する物語だし、XYのサトシとショータのストーリーもショータにジムバッジの数が追いつかれ焦るサトシというサトシとショータに人間ドラマだ。
サンムーンシリーズでいえばポケモンに触れないリーリエの成長であって、手持ちのアローラロコンの成長物語ではないのでこれも人間ドラマだと言えるだろう。
けどこの3つの人間ドラマはどれも大好評だ。
理由は彼ら彼女らの物語にはポケモンが欠かせないまたはポケモンが深く関わっているからだ。
サトシとシンジ
シンジとサトシといえば2人の共通項としてゴウカザルがいる。
シンジはゴウカザルを捨て、サトシがゴウカザルを仲間にしてシンジにリベンジを果たすというストーリーはゴウカザルなくしては語れない。
サトシとショータ
サトシとショータのストーリーに関してはサトシとショータのストーリーにサトシとゲッコウガのシンクロというストーリーを絡めることでポケモンという存在を不可欠することになった。
- サトシはショータにバッジの数が追いつかれそうになった
- サトシはゲッコウガとサトシゲッコウガになる特訓をしていた
- バッジの数が追いつかれたことにより焦りが生じ、シンクロが上手くいかなくなった
サトシとショータのストーリーにゲッコウガが絡み、サトシとゲッコウガのストーリーにショータが絡んでいるいいストーリーだ。
リーリエの成長物語
リーリエに関しては実にシンプルでポケモンに触れないところからポケモンに触れるようになるストーリーなので、ポケモンがないと作れない人間ドラマだ。
リコロイはサトシ時代みたいな人間とポケモンのドラマというより、ポケスペみたいなポケモンを絡めた人間ドラマみたいな方向性だね。マホイップの特性を活かしててめっちゃいいストーリーだった #アニポケ #anipoke pic.twitter.com/86yMMwMRbL
— おたすけ (@otsk_poke) 2023年8月25日
なので今回のようなポケモンを絡めた人間ドラマとポケモンを絡めない人間ドラマは別物だなと思いました。
おたすけ評価
マホイップのホント:★★★★★★☆☆☆☆
個人評価:★★★★★★☆☆☆☆
おたすけ評価星六つ!
- 日常回の評価基準
- 起承転結
- 主役の活躍度
- キャラクター
- ストーリー
- 展開
- 演出
- 作画
- その他
上記の内幾つかの項目を満たしている。またはどれかに特化しているか。
赤文字がプラスポイントで青文字がマイナスポイントだ。
また上記の項目は上から重要な物になっていくがこれは人の好みによって評価が変わるためあくまでもおたすけの評価として見てください。
ストーリー
テーマ性、独自性で大きな加点になります。マホイップという個体を上手く使ったストーリー、進化によって人間関係を変えるドラマ、これらには明確なテーマがありつつもこれまでになかったストーリーを展開出来ていたと思います。
キャラクター
掘り下げで加点。マードックの貴重な掘り下げ回です。
彼の生い立ちなどが軽くですが知れてよかったと思います。
最後のまとめ
個人的にはもう少し評価の高い話になると思ってたけど日常回の評価基準だとストーリー部分があまり加点されない(テーマ性はどんなに大きくても2ptまで)ので★6で落ち着いてしまった。
でも個人的には今やってるリコロイの話では一番評価は高い。