最近質問箱で「〇〇シリーズと△△シリーズの日常回どちらが面白いですか?」とか「おたすけさんが一番面白いと思うアニポケシリーズはどれですか?」とかそういう質問が多いです。
なので俺がアニポケを評価する時の価値観を書き記しておこうと思います。
俺個人の価値観と言うよりは創作者や漫画などの読み手にとって物語を面白くなる要素と認識されているので普遍的な考え方となります。
アニメや漫画に置けるストーリーに置いて縦軸は縦の線、横軸は横の線として扱われ縦軸は木の幹で横軸は木の枝という風に創作では表現されることが多いです。
メインストーリーとなるのが縦軸
縦軸は簡単に言えばメインストーリーのことです。
縦軸は物語の軸であり例えばサトシの場合ポケモンリーグを優勝するためにジムバッジを集める、ダンデと公式戦をする為にWCSに参加して順位を上げるなどです。
ヒカリやハルカならグランドフェスティバルで優勝するためにリボンを五つ集め、セレナならトライポカロンマスタークラスで優勝してカロスクイーンになる為にルーキークラスでプリンセスキーを三つ集める事が彼ら彼女らの目的、つまりは縦軸となる訳です。
ゴウの縦軸はポケモンを全てゲットすることではなくミュウに出会ってゲットすることで、ポケモンを全てゲットすることは全ての遺伝子を持つミュウの情報を得るための手段の一つに過ぎません。
そしてサトシを例にあげるとリーグ優勝するためにはポケモンを強くすることも必要になるので、ジムバッジの獲得のような直接ポケモンリーグに繋がる話でなくてもポケモンのゲットやバトルの特訓も縦軸に繋がる話となります。
ヒカリ、ハルカ、セレナなどもここら辺はほぼ同じですね。
ゴウは少し特別でポケモンをゲットすればミュウの事を知れると言っていますがリーグに参加するためのバッジやグランドフェスティバルに参加するためのリボンのような ゲットすれば明確に目的に近付くバッジやリボンと違ってポケモンをゲットしてミュウを知るという行為は現在ポケモンをゲットしてミュウに近付いた、又はミュウの事を知れたという証がないので基本的には縦軸としては扱われません。(彼の縦軸となる部分はこれから始まるであろうプロジェクトミュウになるかと予想しています)
つまりは彼ら主人公格のストーリーの中心部分であり、目的に一直線であるのが縦軸ということになります!
ギャグ漫画や日常漫画みたいなジャンルでない限り基本的にはこの縦軸が一番の評価部分となります。
下記で縦軸の強みを活かせていると思った回を二つ紹介します。
決着ライバルバトル!サトシ対シンジ!!
脚本:冨岡淳広
まず初めに俺が思う縦軸が一番強いと思うアニポケはダイヤモンド・パールシリーズです。
特に最後のシンジ戦はサトシとシンジの全ての積み重ねが詰まっており、ヨスガジムやエイチ湖で披露したブイゼルのカウンターシールドを始め、シンジには隠していた秘密兵器グライオンのエアバトルで磨いた技術、そして序盤から示唆されていたゴウカザルの特別な猛火とダイヤモンド・パールシリーズ四年間全てが詰まっていると言っても過言ではありません。
シンジとの初バトル、クロガネジム、タッグバトル大会、ミクリカップ、ポケモンコンテストカンナギ大会、ヨスガジム、ナギサジム、その他色々とサトシとサトシのポケモンの縦軸だけではなくシンジにとっての横軸となる部分やヒカリにとって縦軸となる部分を巻き込んで完成させたのがこのサトシVSシンジです!
故にアニメダイヤモンド・パールは縦軸が強い作品となります。
ライバル決戦!サトシゲッコウガVSメガジュカイン!!
脚本:面出明美
ダイヤモンド・パールに負けず劣らず縦軸が強いのはXYシリーズ。
序盤はただポケモンリーグ優勝を目指して旅をするだけでしたが六つ目のジムであるクノエジム戦前に新人トレーナーショータに出会います。
サトシがバッジ六つの時、ショータはバッジを持っていませんでしたがショータの成長は凄まじくサトシがバッジ七つの時はショータは既に八つのバッジを揃えていました。
ショータに追い越されていた焦り、そしてゲッコウガと中々上手くシンクロ出来ずにショータに初めて敗北したのもあって一度はジムリーダーウルップに敗北したサトシでしたが、己の中にある焦燥感を自覚しゲッコウガと完全にシンクロして二度目のリベンジ戦では勝利します。
そんなポケモンリーグでは互いに成長したサトシとショータが激突し、サトシが初めて追われる立場になるというストーリーをショータとエイセツジム戦を通してよく描かれていましたね。
サブストーリーとなるのが横軸
横軸は簡単に言えばサブストーリーです。
そんな縦軸の木の幹から広がっているのが横軸の木の枝です。
ジムバッジを集める旅の途中に街を観光する、困ってる人を助ける、ロケット団に奪われたポケモンを取り返すなどのジムバッジを集めることに関係ない寄り道部分が横軸となります。
この軸ではキャラクターの個性・新たな一面等の掘り下げなどを重きに置いていて、キャラクターを深く描くために重要です。
日常系のアニメ、漫画ですと縦軸よりも此方が重視される傾向にあります。
下記では横軸を伸ばすにあたって個人的に上手に脚本がされていたと思う回を紹介します。
きょだいポケモンのしま
脚本:首藤剛志
逆に一番横軸が強いシリーズで言えば無印一択だと僕は考えています。
特にカントー編の掘り下げ等は素晴らしく今回紹介するのはアニポケファンからもライト層からも超有名なきょだいポケモンのしまです。
そもそもこの話はその前の話「ポケモンひょうりゅうき」から繋がっていてコイキング売りのオヤジに騙されて買ってしまったコイキングをコジロウが蹴っ飛ばしたら、ギャラドスに進化してサトシたち諸共吹き飛ばされた所から始まります。
そしてサトシと離れ離れになったピカチュウと御三家達。
敬語のヒトカゲと後のリザードンを見比べれば豹変っぷりがよく分かる。
この字幕回がなくてもヒトカゲがいい子だというのは他の回を見れば分かることですがヒトカゲが仲間に敬語を使うぐらい丁寧で良い子という情報はきょだいポケモンのしまを見なければ分からないことです。
これまでどんなキャラか分からなかったロケット団のアーボ、ドガースですが意外にもニャース相手に仲間意識が無かったのがこれまた面白い。
やんちゃな上に冗談を吐くゼニガメにまだ人間不信が治ってないフシギダネ。
謎のおでん屋でアーボやドガースの愚痴を聞くピカチュウ、ヒトカゲ。ゼニガメに絡む酔っ払いフシギダネとその他にも見どころがあり、サトシやロケット団のポケモン達の掘り下げがよくされているのが確認出来ますね。
アローラ探偵ロトム!消えたクリスタルの謎!!
脚本:松井亜弥
一択だとかそんな事を言っちゃいましたがそんな無印シリーズに負けず劣らず横軸が強いのはサン&ムーンシリーズ!
コチラのシリーズもかなり横軸に特化したシリーズであり、無印シリーズはキャラやポケモンの掘り下げなど横軸の良さを純粋に活かしてるのに対してサン&ムーンはサブエピソードを伸ばして魅せるタイプの作品です。
なのでサン&ムーンシリーズの要素であるサブエピソードを紹介するべきですが今回は飽くまでも横軸の紹介ですので横軸の真髄であるキャラの掘り下げがよく出来ているアローラ探偵ロトム!消えたクリスタルの謎!!を紹介させてもらいます。
ちなみにここでも紹介するぐらいにはオススメの回です。
ロトムがアローラ探偵ラキ好きという設定付けから始まり、この設定付けも後にちょこちょこ出してくるぐらいにはロトムのキャラ付けの一部となっています。
またデンキZを無くしてしまったサトシはカキ以外の四人に相談しますがもしカキにバレたら絶対に怒られると言われ、サトシも上記のような状況をイメージしています。
このイメージによってサトシや他四人のカキに対するイメージが視聴者にも伝わり、また二話でもカキはZワザやアローラの風習を神聖なものとして扱っていて、ここで彼の信念を押し出すことにより視聴者に「カキはアローラの風習を人一倍大切にしている」というイメージをより強く印象付けさせるものでもありますね。
そしてこのシーンではロトムが被っているヅラが気になるのでつい触ろうとするピカチュウが描写され、ピカチュウの興味関心の対象も分かります(こういうのが気になってしまうピカチュウは以前のシリーズから偶にありましたね)
またそんなピカチュウに対して怒ることによりロトムはどんなことをされたら怒るか、そしてロトムにとってこのヅラがどれぐらい大切なものかも分かります。
何気ない描写ではありますが横軸の目的がキャラの掘り下げな為日常回ではこういう描写が大切になんです!
最後にデンキZを無くしたことをバレてしまったサトシ。
そして想像以上に怒るカキと実際のカキはサトシの印象を上回ることも分かります。
ギャグを描きつつもそのキャラクターの掘り下げもより強く描かれていた回ですね!
最後のまとめ
実例を交えて縦軸の目的、強みと横軸の目的、強みを書いてみました。
つまりここまでの意見を簡単にまとめれば縦軸はそのキャラクターの物語の構成を目的とし、横軸はキャラクターの創作または演出を重きに置いている軸ということです!
ということでここまで読んでくださってありがとうございました!