トライアルミッション! 氷結のレイドバトル!! 感想
脚本:米村正二
絵コンテ:樋口香里
演出:佐々木純人
作画監督: 五十嵐俊介、南伸一郎
- プロジェクトミュウ総評
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トライアルミッション!氷結のレイドバトル!!
YouTubeにアップした動画に大体言いたいことは言ってある
それはそうと初めて動画を作ったにしてはまあまあ完成度高くないですか???誰かを俺を褒めてくれ
ついに来たぞ!レイドバトル!
開幕落ち込んでるゴウ。今回はバトルスキルと協調性を測るテストだからだ。
ゴウは元々友達が居ないし協調性には特に自信が無いと本人も自覚しているらしく、最初はそれが理由でプロジェクトミュウへの参加を断っていた。*1
しかしチェイサーになる為には他のトレーナーとの連携も試されるとアサヒさんは言っていたのでとうとうその日が来てしまったのだ。
落ち込んでいるゴウだがプロジェクトミュウに参加するはるか昔に巨大ゴルーグでレイドバトルをしてたじゃん!とサトシが励ます。
そういったエビデンスがあるお陰でゴウもやる気が湧いたようだ。
ちゃんと過去の回を使ってゴウは全く協調性がないわけではないと説明してくれるのはいいことだ。
視聴者と制作側での認識の違いが埋まるからだ。
対戦相手は伝説のポケモンフリーザー!?
その上レイドバトルの相手はフリーザーと来たもんだ。
アニポケの伝説ポケモンはものすごく強いので、これはゴウにとって厳しいバトルになるだろう。
かつてサトシのリザードンもフリーザーとタイマンで戦って勝ったことがある。
サトシのリザードンでもかなり苦しい戦いを強いられた強敵だ。
リザードンが戦ったフリーザーはほのお技を食らっても余裕で耐える耐久力や少なく見積っても数トンはあるメカをその怪力で投げ飛ばしたりとハイスペックだったので、今回戦うフリーザーも楽しみだ。
フリーザーの生息地としてはふたごじまがセオリーなのでそこに行くことに。
アニポケでふたごじまの名前はかつて出たことあったが、行くのは今回が初めてだ。
シゲル再登場キター!
インテレオンの能力を上手く使い、洞窟内でフリーザーを探しているとトキオやシゲルに出会った。
今回のレイドバトルはゴウ、サトシ、シゲル、トキオの4人。
サトシ、トキオはゴウの友人でシゲルはゴウにとってはライバル的存在。
それに過去の絡みもあってか初っ端からシゲルに対して敵意を剥き出しにしていた。
敵意を剥き出しにするゴウとは違って、シゲルはゴウに一緒に行くか行かないか選択を委ねている。
シゲルは勝手に先に行ったりはせず、あくまでもゴウがどう対応するか伺っている。
彼の自分なりのやり方でトレーナーとしての力量を試し導いている
バトルの指示と連携力が試される
「ミッションではポケモントレーナーとしての知識、ゲットに関する総合的能力、バトルでの指示やコンビネーション、他のトレーナーとの連携などが試される」新無印71話レッツゴー!プロジェクト・ミュウ!!(アサヒ)
かつてアサヒさんはこう言っていた。
実際これまではゲットやポケモントレーナーとしての知識が試されるミッションがあり、今回はレイドバトルなので、バトルの実力だけではなく仲間とのコンビネーションも見られるわけだ。
フリーザーとの対決は4人それぞれ3匹までポケモンを使用できる。なので合計12匹も出せる!
しかし準伝説ポケモンだけあって実力は高く、4匹まとめてワンパンするほどだ。
シゲルのバンギラスの活躍楽しみにしてたのにワンパンされるとは思わんかった!
次の技が必ず当たるこころのめと、命中率は低いが当たれば一撃必殺技のぜったいれいどコンボを警戒したシゲルは「一箇所にまとまらずにお互い離れて戦うように指示」をする。
ブラッキーのあやしいひかりで混乱したフリーザーに対しても「攻撃するなら今だ!」と他の3人を的確に導く役目を果たしていた。
いわば司令塔的な立ち位置で、普通のポケモンバトルでは見られない光景だ。
アサヒさんの言っていた「バトルでの指示やコンビネーション、他のトレーナーとの連携」を同時に達成している。
その他にも混乱が解けた時にはいち早く仲間に教え、4匹まとめてやられた時も次に備えるようにアドバイスをしていた。
またトキオは終始味方のサポートをしていたがこれにより味方のポケモンが延命できていた。
ひかりのかべやリフレクターの両方を使っており、どちらもダブルバトルでは味方の場全体に効果があるので仲間とのバトルでは重宝する技となっている。
またシングルバトルでは使えないいやしのはどうはダブルバトルで味方のポケモンにだけ使える回復技である。
仲間のことを最優先にした技構成なのはトキオの優しい人柄を象徴すると共に仲間をサポートする有能さをアピールできている。
ゴウのバトルの腕
「エースバーンとルカリオはフリーザーに飛びつけ!」「勝手に指示すんな!」「ゴウ!やろう!」(シゲル・ゴウ・サトシ)
的確に指示を送るシゲルに対して、シゲルのことが単純に気に入らないゴウは反発した。
だがシゲルの指示に妥当性があると判断したサトシは乗っかり、ゴウも仕方なく乗っかることになった。
仲良しのサトシがゴウの判断よりもシゲルの判断を信頼したのはゴウにとってはショックだろう。
シゲルの作戦は上手く行き、エースバーンのブレイズキックとルカリオのてっていこうせんと効果は抜群の技を二つ浴びせることに成功!
これによってゴウの判断よりシゲルの判断が正しいことが確認できた。
シゲルはポケモンリーグでもサトシとバチバチにやり合っていた実力の高いトレーナーなので、その経験の差が出ている。
ゴウの仲間とのコンビネーション
「サトシ、ここで畳み掛みかけよう!」「おう!」「ダメだ、フリーザーは甘くない!」(ゴウ・サトシ・シゲル)
今度はゴウが指示を送ろうとするもシゲルはそれを止めに入った。
だがシゲルに対して反発心しかないゴウはそれを無視してかえんボールを指示してしまった。
シゲルを無視した強引な指示によりエースバーンとルカリオ、そしてその2匹のサポートという名の尻拭いをさせられたトキオのサーナイトは戦闘不能に。
シゲルと違ってゴウのバトルセンスは劣っているのに、シゲルの指示を受け入れずに独断専行に走ったゴウのミスだ。
バトルの指示やコンビネーションだけではなく他のトレーナーとの連携も取れていない。
またエースバーンだけではなくサトシのルカリオやトキオのサーナイトが戦闘不能になった理由も完全にゴウのせいなので足手まといになってしまっている。
「ゴウ、ぼくたちは一人じゃない。チームで戦おう」「分かってるよ、そんなの!」「分かってない、シゲルくんは既にそうしているよ」「レイドバトルで重要なのはチームとしての総合力。基本すぎて言葉にはしなかったけどね」「くっ…」「ここからはボクの指示に従ってもらおう」(トキオ・ゴウ・シゲル)
とうとうトキオにもそのことを注意され、正式にシゲルが司令塔となった。
くっ…というセリフからものすごく悔しそうな感じが伝わってくる。
「ぜったいれいどが来るかもしれない!散らばれ!」「いや、ふぶきがきたら全滅だぞ!ガントルの後ろに固まるんだ!」(シゲル・ゴウ)
シゲルがぜったいれいどを警戒していたがゴウはふぶきを警戒して指示を送ってしまった。
司令塔はシゲルであるのに関わらずだ。
ゴウの指示に従った結果、フリーザーを前に全滅し敗北となってしまった。
とはいえこればかりは2択だったからゴウの選択はたまたま悪かっただけだが、シゲルが司令塔になったのにゴウが独断専行に再び走り仲間のポケモンを戦闘不能に導いているのは印象が悪い。
ゴウ本人の言う通り今回は協調性の無さが露骨に現れていた。
シゲルがゴウを成長させようとしている
ゴウも終わった後に自らの過ちを認めその行いを悔やんだ。
トキオは「そんなことないよ、ゴウが前に出てくれたからぼくは防御や回復技に専念できた」とフォローしてくれたが、シゲルは「甘いな、彼の身勝手な行動さえなければもっとレイドバトルできたんだけどね」と厳しい評価を送った。
ツルギの評価もシゲルはリーダーシップを発揮し、トキオはチームプレイに徹したためトークンを多く配布していた。
今回ゴウはトークンを一応貰っていたが間違った行動で足を引っ張り仲間のポケモンを2度も戦闘不能にさせていることを考えるとトークンはナシでもいいんじゃないか?と思った。
ゴウへの忖度をやや感じてしまうが、プロジェクトミュウを始めたのが遅かったのでここでトークンをあげないとゴウを合格させられないと思ったのかな。
今回ゴウは苦手な協調性をクリア出来ずに他の2人より遅れを取ってしまった。
ゴウの問題点だけではなくプロジェクトミュウに必要なテーマをちゃんと描けていて、シゲルやトキオの優秀な部分も描けていてとてもよかった。
またシゲルはバトルの指示、トキオはチームプレイと得意分野の違いが活かされていた点も面白かったね。
かつてはシゲルも未熟者だった
そんなシゲルも昔はキザでお調子者だった。
当時から優秀なトレーナーだったシゲルだが、甘さもあり何とシゲルが終始バカにしていたサトシよりも先にポケモンリーグで敗北してしまう。
この敗北が彼の薬となり、シゲルは成長することが出来た。
シゲルはサトシを幾度となく導いている
「セキエイ大会ベスト16、オレンジリーグ名誉トレーナーの実力、見せてやるぜ!」「お喋りはそれぐらいにして、お先にどうぞ」「言われなくてもやってやるぜ!」無印118話 ライバルたいけつ!サトシVSシゲル!!
サトシは自分の腕を過信する癖が当時からあり、何か大きなことを成す度にシゲルが目の前に現れた。
この時はサトシのピカチュウをイーブイで倒して、鼻っ柱を折ってやった。
天狗になっていたサトシもシゲルの後を追うことになる。
そして彼らはジョウトリーグで決着をつけることになった。
(中々手強いな…。だがバトルフロンティアを制覇したオレたちが負けるわけないぜ!)AG192話 旅の終わり、そして始まり!(サトシ)
そして現実世界で7年後に放送されたアドバンスジェネレーション最終回ではシゲルのエレキブルと戦った。
この頃のサトシはあのバトルフロンティアを制覇していて、シゲルとエレキブルの実力を認めながらもバトルフロンティアを制覇したことが自信になっていて負けるわけがないとまで心の中で思っていた。
この背景には一度ジョウトリーグでシゲルを倒したことも慢心に繋がっている可能性がある。
「バトルフロンティアを制覇したからって喜んでる場合じゃないぞ。シンオウ地方にはまだお前が知らない強いポケモンがたくさんいる。世の中は広いんだ。」AG192話 旅の終わり、そして旅の始まり!
だが結果は敗北。
ピカチュウのボルテッカーをまもるで完全に防ぎ切って、その隙を突いた見事な指示だ。
慢心しているサトシに世の中の広さを教え、サトシはシンオウ地方に向かうことになった。
こうやって慢心するサトシの前に現れては次の道を導く、そんな役目を彼は背負ってきた。
そして今度はゴウを導こうとしている
失敗したゴウに対して次はきっと勝ち残れるよ!と励ましてくれるトキオだったが、シゲルは「優しさは時として残酷だね。未熟な者を許し、夢や希望を与え背伸びさせた挙句最悪の結果を招く」と厳しい言葉を送った。
この未熟な者というのは現在のゴウのことであり、かつての自分のことであり、何かを成し遂げて天狗になったサトシのことだ。
だからこそ自分と同じ経験をさせないためにシゲルはサトシのことを何度も導き、今度はゴウのことも成長させようとしている。
しかしゴウに対して優しく教えることはなく、これはシゲルがそういう性格というのもある。
だがそれだけではなくその後のセリフに「ボクはツルギさんの厳しさに共感した。あの厳しさが無ければミュウには遭遇できない」とも言っていた。
だからこそシゲルはゴウに対して厳しく接し、トキオの送っていた優しい言葉では夢や希望を与えて慢心させた挙句に最悪の結果を招くと考えたのではないかと推測できる。
昔のサトシも慢心していたのでバトルで打ち負かすことにより次の道を示してきた。
もはやシゲルはサトシとゴウの道標である。
ゴウの最後の課題はチームワーク
協調性がないのでゴウのこの欠点は今後改善しなければならない。
それがないとミュウ探索の時に間違いなく今回みたいに足を引っ張るからだ。
シゲルの真意をやっと察することが出来たゴウは初めてシゲルのことを名前で呼び、シゲルもゴウのことを少しだけ認めたのか初めて名前を呼んだ。
シゲルの真意に気付いたゴウならばこの欠点を克服するのもすぐに違いない。
おたすけ評価
トライアルミッション!氷結のレイドバトル!!:★★★★★★★★☆☆
個人評価:★★★★★★★☆☆☆
おたすけ評価星八つ!
- 重要回の評価基準
- 起承転結
- 主役の活躍度
- ストーリー
- 展開
- 演出
- 作画
- キャラクター
- その他
上記の内幾つかの項目を満たしている。またはどれかに特化しているか。
赤文字がプラスポイントで青文字がマイナスポイントだ。
また上記の項目は上から重要な物になっていくがこれは人の好みによって評価が変わるためあくまでもおたすけの評価として見てください。
ストーリー
今回のドラマ性部分で評価が上げられる部分で言えば、やはりシゲルの「未熟な者を許し、夢や希望を与え背伸びさせた挙句最悪の結果を招く」というセリフについてだ。
米村さんは随分と凝ったセリフのチョイスをするんだなと感心すると同時に、セリフの真意について色々考えたが過去のシゲルについてリンクさせているのが分かる。
「未熟な者を許し、夢や希望を与え背伸びさせた挙句最悪の結果を招く」
— おたすけ (@otsk_poke) 2022年3月20日
これは過去に苦渋を嘗めたシゲル自身のことを言ってるんだろうね
だからオレンジリーグやバトルフロンティアを制覇して天狗になってるサトシやまだ未熟なゴウにも自分と同じ道を歩ませないように厳しく接しているのが分かる pic.twitter.com/H7ZZLeqom4
新無印の逆襲ミュウツー回のインタビューでも言っていたが元々米村さんは、過去キャラを扱う場合は作品を見た上で解釈してキャラの役割を予め決める傾向にあった。
逆襲ミュウツーとは矛盾のないように解釈したと雑誌では言っていた。
過去の自分を反省して、昔のサトシや今のゴウの未熟な部分を正す役割にシフトしたのは面白い試みだ。
こういう過去の積み重ねが感じられるのはいい所だね。
展開
お互いを認め合い、名前を初めて呼び合う王道展開は普遍性で微加点が入る。
今まではシゲルの方がゴウよりも数歩先に進んでおり、現在もその実力差は変わっていないがゴウが自分の未熟さを自覚したことによりシゲルはゴウのことを認めてくれたようだ。
またゴウ側もシゲルに対してただの嫌味な奴という印象から、嫌味な奴だけどミッションの中で何かを気付かせてくれることを理解出来ていた。
演出
道中野生のポケモンに襲われた際にサトシを突き飛ばして野生のポケモンをゲットしていたりとゴウの未熟な部分や協調性の無さについて細かい演出が入っていた。
他にもゴウがシゲル同様にツルギの厳しさに共感する時の回想やシゲルがゴウを煽っていた理由など今までの物語の点と点が徐々に繋がるような演出はドラマ性、展開を補助する物としてとても優秀である。
しかしながらゴウの協調性がない点や未熟な部分というのは普段はあまり顔を見せていないため、やや都合がいい脚本とも捉えられる。
なので、微加点と言わずとも大きな加点には入れていない。
作画
今回ヘルプなのでクレジットは無かったみたいですが
— 忍田 雄介(Yusuke Oshida) (@mochomocho1020) 2022年3月18日
バトルの一部、レイアウトのみですがお手伝いしております〜
フリーザーというと、こころのめ→ぜったいれいどのイメージ#アニポケ pic.twitter.com/c82QqCKhsV
忍田雄介さんが一部担当していたのでフリーザーが攻撃する時はやたらと作画がよかった。
動きなんぞ見なくても一枚絵で作画の良さが分かってしまう。最高だ、忍田さん。
キャラクター
上記で語っているがゴウとシゲルの関係性について深堀りされていた回だった。
これからの二人がどうライバル関係を築くのが個人的にも楽しみである。
最後のまとめ
感覚的には★6か7ぐらいかと思っていたが細かく点数を付けていたら、思った以上にゴウのストーリーとして完成度の高い話だった。
それだけにこういう話をもう少し早くやっていればよかったなとは感じた。
終盤である三年目に精神的な成長描写(しかもまだまだ未熟である)をやるのは遅くないか?
プロジェクトミュウが一年目に始動していたらまた違っていたのかもしれない。
正直アローラキュウコン、ウルガモスの回ではクオリティが予想以上に低くてダメかと感じていた。
しかしキングドラ、フリーザー回は予想以上にクオリティが高い回だったのでこれはさすがにプロジェクトミュウに期待してしまう。
*1:68話「ゴウにライバル!?ミュウへの道!」